ごあいさつ
世田谷区の知的障害のある方の権利の権利擁護と地域福祉の向上を目指して活動を続けている世田谷区手をつなぐ親の会の有志で立ち上げた当法人も設立から4年の月日が経ちました。
一昨年度までは知的障害者の地域生活を支える一つの手立てとして、余暇支援(重度の方向けのプログラムも含む)を実施しながら、当事者との直接的なつながりの機会を得て、
顔の見えるサポートへ の道筋をつかみかけたところでした。
しかし、昨年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、直接的なふれあいの機会である余暇支援がすべてストップしてしまいました。
知的障害のある方が罹患した場合に病状が進んでも、受け入れてもらえる病院が少ないという状況を考えれば、ブログラムの中止という判断に傾かざるをえませんでした。
ただ巣ごもり生活が続き、環境の変化が大きく、変化に弱い知的障害者にとってはとてもつらい状況であり、また、それを支える家族の負担も増していることも事実です。
今年度は感染状況に応じて、世田谷区スポーツ振興財団の助成を受けて、密にならない場所の提供を受けて、最大限の感染対策を講じながら、スポーツ教室を再開しておりますが、
緊急事態宣言が発令されたときは自粛の方針でやれるところで計画しています。
昨年度、余暇支援は難しくても、親を支える活動であれば、できるのではないかということで始めたのが権利擁護勉強会でした
ちょうど一年前に根本雄司弁護士(横浜弁護士会所属 弁護士法人 港大さん橋法律事務所)と高辻庸子弁護士(東京弁護士会所属 弁護士法人北村・加藤・佐野法律事務所)を
当法人の顧問弁護士としてご協力を得ることができましたので、権利擁護事業を前進させることができました。
コロナ禍の勉強会は密にならない環境を設定し、『知的障害のある方の親なき後を深める』をテーマに昨年度は四回の勉強会を開催することができました。
コロナ禍でも親なき後問題は待ったなしの状況は変わらず、むしろ親なきあとに関する不安はより高まったとも言えます。我が子が親なき後でも自分らしく生きていけるようにするには、
いま親は何をしておけば良いのかをみんなで一緒に考えています。
知的障害は障害特性として、自分の言葉で自らの将来設計や願いを語ることが難しいことが多く、「本人がどうしたいのか。」を常にサポートする側が推測しながら、
本人の意向を丁寧に確認したり、本人の様子をみていかなければ、往々にして、本人が望んでいない方へ物事がすすんでしまう恐れがあります。
本人の意思決定支援の在り方がご本人の将来を決めるといっても過言ではありません。親なき後と本人の意思決定支援はセットで考えていくものだと思います。
親なき後に障害のある子どもが幸せと感じられるような生活を目指して、親が今できることを根本弁護士や高辻弁護士のお話を元に勉強していますが、
単に親なき後の法定後見制度や信託などの資産面の管理の話ばかりではなく、親を見送る子どものために準備するお墓・お葬式の話などは親自身の終活にもつながります。
家の片付けなどの話では「断捨離しなくちゃ...」などと明るく楽しい雰囲気も醸しながら、みんなで親自身の今後に向き合っています。
お話を伺って、具体的な個別の話に進みたい方には根本弁護士・高辻弁護士による個別相談も始めました。
最初の一歩を踏み出すことにより、親なき後に立ち向かうことができるように法人としてもお手伝いをしてまいります。従来の生活面に関しての困りごとには引き続き、
白井俊子先生が相談を担当してくださいます。
まだまだ未熟な私たちではありますが、住み慣れた地域で知的障害のある方が暮らし続けることができるような仕組みづくりに今後も取り組んでまいります。
2021年(令和3年)6月
一般社団法人 つながりラボ世田谷
代表理事 竪山順子
理事 上原明子 上田幸夫
小澤智佳子 庄司恵美
顧問 根本雄司弁護士 高辻庸子弁護士
監事 井上拓也